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デフサッカーで活躍かつやくする瀧澤諒斗たきざわあきと選手にインタビュー

2025年3月31日 by 佐藤史緒莉

9月23日は「手話(しゅわ)言語(げんご)の国際(こくさい)デー」です。


「少年写真ニュース」2023年9月8日号では、「手話(しゅわ)で会話(かいわ)してみよう」をテーマに、デフサッカーの瀧澤諒斗たきざわあきと選手に取材(しゅざい)させていただき、簡単(かんたん)な手話(しゅわ)を教(おし)えていただきました。紙面(しめん)にはわかりやすく掲載(けいさい)されているので、学校(がっこう)に掲示(けいじ)されていたら、ぜひ一緒(いっしょ)に練習(れんしゅう)してみてください。
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できあがった紙面(しめん)といっしょに(2023年9月11日)

9月の最後(さいご)の1週間(しゅうかん)(今年(ことし)は9月18日から24日)は、「国際(こくさい)ろう者(しゃ)週間(しゅうかん)」で、毎年(まいとし)テーマが決(き)められており、2023年のテーマは「世界中(せかいじゅう)のろう者(しゃ)が、どこでも手話(しゅわ)言語(げんご)でコミュニケーションできる社会(しゃかい)へ!」です。

また、2年後の2025年11月15日から26日、4年ごとに開催(かいさい)されるデフアスリートを対象(たいしょう)とした国際(こくさい)総合(そうごう)スポーツ競技大会(きょうぎたいかい)「東京(とうきょう)2025デフリンピック」が、東京(とうきょう)で開催(かいさい)されます。2025年大会は、デフリンピック100周年の記念(きねん)すべき大会(たいかい)です。

「手話(しゅわ)言語(げんご)の国際(こくさい)デー」である9月23日から、10月7日まで、「第(だい)4回(かい)デフサッカーワールドカップ」がマレーシア(クアラルンプール)で開催(かいさい)されます。

瀧澤(たきざわ)選手(せんしゅ)も8月に日本代表選手(にほんだいひょうせんしゅ)に選出(せんしゅつ)されました。

何(なに)より、代表選手(だいひょうせんしゅ)の中(なか)では最年少(さいねんしょう)(2023年時点)。

しかし、その若(わか)さからは考(かんが)えられない、礼儀(れいぎ)正(ただ)しさ、優(やさ)しさ、真面目(まじめ)さ、賢(かしこ)さ、強(つよ)さ、そしてサッカーへの深(ふか)い愛情(あいじょう)をもった瀧澤(たきざわ)選手(せんしゅ)。

初(はじ)めてのことも多(おお)いと思(おも)いますが、若(わか)いからこそチャレンジして、そして、誰(だれ)よりも思(おも)い切(き)り楽(たの)しんで、良(よ)い結果(けっか)を残(のこ)してもらえればと願(ねが)ってやみません。

現在(げんざい)、大学(だいがく)サッカー、そしてデフサッカーの両方(りょうほう)で活躍(かつやく)、2年(ねん)後(ご)のデフリンピック出場(しゅつじょう)を目指(めざ)す、亜細亜大学(あじあだいがく)の瀧澤諒斗選手にお話(はなし)を伺(うかが)いました。

大学(だいがく)サッカー、デフサッカー両方(りょうほう)で活躍(かつやく)する瀧澤(たきざわ)選手

──障(しょう)がいについて教(おし)えてください。

「僕(ぼく)は生(う)まれつき耳(みみ)がきこえなくて、それがわかったのは幼稚園(ようちえん)の時(とき)でした。生(う)まれた時(とき)に親(おや)が気(き)づかなかったのですが、僕(ぼく)が幼稚園(ようちえん)の時(とき)に、両親(りょうしん)が呼(よ)びかけても反応(はんのう)がなかったので、『おかしいな』って思(おも)って、病院(びょういん)に連(つ)れていったら、耳(みみ)がきこえないことがわかりました。今は補聴器(ほちょうき)をつければきこえます。人(ひと)によってきこえ方(かた)にもいろいろあります。まったくきこえなくて手話(しゅわ)を使(つか)う人(ひと)もいれば、僕(ぼく)みたいに補聴器(ほちょうき)をつけて話(はな)すことができる人(ひと)もいます。僕(ぼく)は感音性難聴(かんおんせいなんちょう)ですが、ほかにも伝音性難聴でんおんせいなんちょうというのもあって、きこえないといってもいろいろな障(しょう)がいがあるので、それを知(し)ってもらえたらと思(おも)います」

──コミュニケーションはどのようにしてとるのですか?

「僕(ぼく)は小学校(しょうがっこう)の時(とき)からずっと、コミュニケーションをとる時(とき)は、口(くち)の形(かたち)や動(うご)きを見(み)ながらコミュニケーションをとっています。いわゆる、読唇術(どくしんじゅつ)っていうんですけれども。3年(さんねん)くらい前(まえ)からコロナが流行(りゅうこう)し始(はじ)めて、世(よ)の中(なか)ではマスクが当(あ)たり前(まえ)になりました。マスクだと口(くち)の動(うご)きが見(み)えなくなるから、聴覚(ちょうかく)障(しょう)がいがある人(ひと)たちの中(なか)には、コミュニケーションをとるのに困(こま)る人(ひと)たちも増(ふ)えました。僕(ぼく)もマスクのせいで、いろいろ大変(たいへん)だった時期(じき)がありました。小学校(しょうがっこう)の時(とき)は、口(くち)を見(み)ながらコミュニケーションをとっていたのですが、高校(こうこう)ぐらいになると知識(ちしき)も増(ふ)えてきて、自分(じぶん)が知(し)っている範囲(はんい)の言葉(ことば)だったら、口(くち)を見(み)なくても大体(だいたい)ききとれるようになったので、今(いま)では、知(し)っている言葉(ことば)は、マスクをしていても、すべてとは言(い)えないですけれども、少(すこ)しはききとることができます。自分(じぶん)にあまりなじみのない言葉(ことば)や、初(はじ)めてきく言葉(ことば)だと、『え?』ってきき返(かえ)すことが多(おお)いです。やはりそういった部分(ぶぶん)は気(き)づかれないんですよね。僕(ぼく)みたいに話(はな)していると、初(はじ)めて会(あ)った人(ひと)も、『(この人(ひと)は)きこえているんじゃないか』と、健常(けんじょう)の人(ひと)と同(おな)じように話(はなし)をしてくるのですけれど、『きこえないところもあるんだよ』っていうのをみんなに知(し)ってほしいです」

瀧澤選手は話すときに会話と手話の両方を使います

──では逆(ぎゃく)に、コミュニケーションをとる際(さい)に相手(あいて)にしてほしいことは?

「デフの中(なか)には話(はな)せない人(ひと)もいるし、僕(ぼく)みたいに話(はな)せる人(ひと)もいるので、まずはデフの人(ひと)が『どうやって話(はな)してほしいと思(おも)っているか』をきいてほしいです。健常者(けんじょうしゃ)の方(ほう)の勝手(かって)なイメージで、筆談(ひつだん)とかしたら(僕(ぼく)たちは)うれしいんだろうなって思(おも)ってくれたりするかもしれませんが、僕(ぼく)からしたら、直接(ちょくせつ)話(はな)したほうが話(はな)しやすいんですよね。障(しょう)がいにもよりますが、ほかの人(ひと)だったら『筆談(ひつだん)のほうがいいな』って思(おも)う人(ひと)もいるだろうし。個人的(こじんてき)には、みんなつらいと思(おも)うんですね。だから、まずはデフの人(ひと)にどういった方法(ほうほう)でコミュニケーションをとりたいかをきいてもらって、その人(ひと)に合(あ)ったコミュニケーションをとるのがいいんじゃないかなと思(おも)います。健常者(けんじょうしゃ)同士(どうし)の会話(かいわ)って口(くち)をあまり動(うご)かさないじゃないですか? だから、きこえない人(ひと)に対(たい)して話(はな)す時(とき)は、口(くち)をよく動(うご)かしてくれたほうがわかりやすいですし、少(すこ)しでも工夫(くふう)して、当(あ)たり前(まえ)のように話(はな)してくれたら、それが本当(ほんとう)にうれしいです。少(すこ)しの工夫(くふう)が一番(いちばん)大切(たいせつ)だと思(おも)いますね」

──瀧澤(たきざわ)選手(せんしゅ)はサッカーを子(こ)どもの時(とき)からずっと続(つづ)けていますが、高校(こうこう)や大学(だいがく)でのサッカーではチームメイトとどのようにコミュニケーションをとっていますか?

「サッカーはチームプレーなので、味方(みかた)から指示(しじ)があるんですけれど、僕(ぼく)はFWだから、後(うし)ろからの指示(しじ)が多(おお)いんですね。プレーに集中(しゅうちゅう)していることもあって、きこえない場合(ばあい)がほとんどです。そのことを味方(みかた)には言(い)っているのですが、うまくいかないことのほうが多(おお)い。だから、自分(じぶん)がどうしてほしいのか、例(たと)えば『こういった時(とき)にきこえないから、声(こえ)じゃなくて、手(て)を使(つか)ったジェスチャーをしてほしい』ということは、今(いま)でもずっと言(い)い続(つづ)けています。ほかの人(ひと)とは、ちょっと違(ちが)うかもしれませんが、自分(じぶん)なりの工夫(くふう)をしてやっている感(かん)じがします。サッカーは一番(いちばん)好(す)きなことですが、今(いま)までにサッカーを辞(や)めたいと思(おも)ったこともあります。悔(くや)しくて、泣(な)いたことも結構(けっこう)あります。そういった時(とき)に、支(ささ)えてくれる家族(かぞく)だったり、大切(たいせつ)な人(ひと)だったり、いろいろな人(ひと)の思(おも)いがあるので、その思(おも)いを背負(せお)っているからこそ、サッカーを続(つづ)けてこれたんじゃないかなと思(おも)っています」

──健常者(けんじょうしゃ)といっしょにサッカーをすることはたいへんじゃないですか?

「両親(りょうしん)も僕(ぼく)と同(おな)じ障(しょう)がいで、耳(みみ)がきこえないのですが、僕(ぼく)がやりたいことはやらせるという育(そだ)て方(かた)でした。サッカーを健常者(けんじょうしゃ)の中(なか)でやることにも反対(はんたい)はしませんでした。『自由(じゆう)にやってくれればいい』って。だからすごく恵(めぐ)まれている環境(かんきょう)だと思(おも)います。それに感謝(かんしゃ)をして、いつか有名(ゆうめい)になって両親(りょうしん)を楽(らく)にして、今までの恩返(おんがえ)しができたらいいなと思(おも)っています」

──サッカーで楽(たの)しい瞬間(しゅんかん)を教(おし)えてください。

「FWなので、ゴールをとった時(とき)が一番(いちばん)楽(たの)しい瞬間(しゅんかん)です。あとはできなかったことを味方(みかた)同士(どうし)で練習(れんしゅう)とかでコミュニケーションをとって、『こういう時(とき)にこうして欲(ほ)しい』、『こういう時(とき)にこのパスが欲(ほ)しい』とか、そういった積(つ)み重(かさ)ねの成果(せいか)が本番(ほんばん)で出(で)た時(とき)は本当(ほんとう)にうれしいですし、できなかったことができるようになるというのは、サッカーだけではなく、社会(しゃかい)に出(だし)ても、いろいろなことで同(おな)じことが言(い)えると思(おも)っています。サッカーを通(とお)して、いろいろなことを学(まな)びました。それが一番(いちばん)大(おお)きいです」

──サッカーで好(す)きな選手(せんしゅ)はいますか?

「好(す)きな選手(せんしゅ)は海外(かいがい)ならネイマール(ブラジル代表(だいひょう))。日本(にっぽん)だと三苫(みとま)薫(かおる)選手(せんしゅ)です。僕(ぼく)がドリブラーなので。サッカーのプレーで実(じつ)は今(いま)すごく悩(なや)んでいる時期(じき)なんですよ。もう少(すこ)しエゴを出(だ)してもいいのかなって考(かんが)えていて。いいのかな?どうしようかなって」

サッカーする瀧澤選手

──現在 亜細亜大学法学部法律学科の2年(2023年時点)。大学(だいがく)生活(せいかつ)はいかがですか?

「亜細亜大学(あじあだいがく)は指定校推薦(していこうすいせん)で入(はい)りました。入(はい)る前(まえ)まで亜細亜大学(あじあだいがく)のことを全(まった)く知(し)らなかったのですが、デフサッカーの先輩(せんぱい)が亜細亜大学(あじあだいがく)にいて、その先輩(せんぱい)の繋(つな)がりで、特別支援教育(とくべつしえんきょういく)が専門(せんもん)の橋本一郎先生と出会(であ)いました。大学(だいがく)に入(はい)る前(まえ)に先生(せんせい)とやりとりをしていて、入学(にゅうがく)前(まえ)に大学(だいがく)に行(い)ってお話(はな)しする機会(きかい)をいただいて。そこで亜細亜大学(あじあだいがく)は聴覚(ちょうかく)障(しょう)がいの人(ひと)へのサポートがすごくしっかりしている大学(だいがく)であるというお話(はなし)を伺(うかが)って。その話(はなし)をきいていたから、学校(がっこう)に入(はい)ってからも安心(あんしん)で、すごく楽(たの)しくて。僕(ぼく)以外(いがい)にも、自分(じぶん)と同(おな)じ聴覚(ちょうかく)障(しょう)がいの人(ひと)が大学(だいがく)にはいるんですけれど、その人(ひと)たち以外(いがい)にも手話(しゅわ)ができる人(ひと)もいて」

──授業(じゅぎょう)で困(こま)ることはないですか?

「学生(がくせい)ボランティアで、ピアサポーター(障(しょう)がいがある人(ひと)がその経験(けいけん)をいかして同(おな)じ立場(たちば)や境遇(きょうぐう)の人(ひと)をサポートする活動(かつどう))というんですけれど、そういう活動(かつどう)も亜細亜大学(あじあだいがく)は充実(じゅうじつ)していて。そういう人(ひと)たちにも僕(ぼく)がサポートしてもらっています。『先生(せんせい)がこういうことを言(い)っているよ』、『ここが大事(だいじ)なところだよ』ということは、ノートテイク(文字(もじ)通訳(つうやく))の人(ひと)に書(か)いてもらったり。あとは「UDトーク」という会話(かいわ)を文字(もじ)に起(お)こしてくれるアプリがあるんですけれど、そのアプリを使(つか)うために、授業(じゅぎょう)前(まえ)に先生(せんせい)にマイクを渡(わた)してつけてもらうんですね。そうすると、先生(せんせい)がおっしゃっていることが字幕(じまく)になって出(で)てくるんですね。先生(せんせい)によって話(はな)し方(かた)も違(ちが)うので、うまく文字(もじ)で出(で)る先生(せんせい)もいれば、そうではない先生(せんせい)もいて。ただ文字(もじ)化(か)できても、誤字(ごじ)も出(で)てくるので、その誤字(ごじ)を直(なお)す作業(さぎょう)はピアサポーターがやってくれます」

──亜細亜大学(あじあだいがく)は安心(あんしん)して学校生活(がっこうせいかつ)が楽(たの)しめる環境(かんきょう)が整(ととの)っていますね。

「いろいろな面(めん)ですごく環境(かんきょう)に恵(めぐ)まれているなということを、大学(だいがく)に入(はい)ってから感(かん)じるようになりました。授業(じゅぎょう)だけじゃなくて、サッカー部(ぶ)もそうです。大学(だいがく)は、僕(ぼく)が入学(にゅうがく)した時(とき)にジムもグランドも新(あたら)しくなったのですが、タイミングがいいなあって。『俺(おれ)の流(なが)れが来(き)ているな!(な)』と勝手(かって)に思(おも)っているんですけれど(笑)(かおもじ)、本当(ほんとう)にいいタイミングで亜細亜大学(あじあだいがく)に入(はい)ったなって思(おも)っています。本当(ほんとう)に今(いま)は充実(じゅうじつ)していて、すごく楽(たの)しいです。手話(しゅわ)の授業(じゅぎょう)では、橋本一郎先生となかよくさせていただいているので、授業(じゅぎょう)のない時間(じかん)には、橋本先生の横(よこ)で、手話(しゅわ)を学習(がくしゅう)している学生(がくせい)さんに、僕(ぼく)も教(おし)えたりしています。授業(じゅぎょう)を受(う)けるだけじゃなくて、人(ひと)に教(おし)えることもできて、本当(ほんとう)にいろいろな面(めん)で勉強(べんきょう)できるから、亜細亜大学(あじあだいがく)に入(はい)ってよかったなあって思(おも)っています」

──2023年9月にはマレーシアでデフサッカーワールドカップが開催(かいさい)されます。

「デフサッカーワールドカップに向(む)けて、今(いま)がんばっている感(かん)じです。自分(じぶん)も日本代表として日(ひ)の丸(まる)を背負(せお)う重(おも)みは感(かん)じています。今(いま)までデフサッカーは、日本代表のユニフォームはJDFA(日本(にっぽん)ろう者(しゃ)サッカー協会(きょうかい))が決(き)めたものだったのですが、この大会(たいかい)からサッカー日本代表(JFA)と同(おな)じユニフォームになりました。トレーニングウェアもですね。大好(だいす)きな三苫(みとま)薫(かおる)選手(せんしゅ)と同(おな)じユニフォームを着(き)ることができるようになったんです」

──それはうれしいことですね!

「僕(ぼく)もうれしかったですが、それが決(き)まった時(とき)に泣(な)いている先輩(せんぱい)もいて。僕(ぼく)はまだ若(わか)いんですけれど、昔(むかし)のデフサッカーの選手(せんしゅ)の皆(みな)さんは本当(ほんとう)に大変(たいへん)で、ユニフォームもみんなバラバラ。選手(せんしゅ)たちが自分(じぶん)で動(うご)いて試合(しあい)を組(く)んだり。食事(しょくじ)やホテルの手配(てはい)も全部(ぜんぶ)自分(じぶん)たちでやっていて。だからそういった苦労(くろう)をたくさんした時代(じだい)を知(し)っているベテランの先輩(せんぱい)たちだからこそ、あの時(とき)に流(なが)した涙(なみだ)があるんじゃないかと思(おも)っています。引退(いんたい)した先輩(せんぱい)たちだって、絶対(ぜったい)に着(き)たかったはずなんですよ、JFAのユニフォーム。着(き)たくても着(き)れなかった先輩(せんぱい)たちの思(おも)い、今(いま)まで、そして今(いま)もいろいろ支(ささ)えてくれている人(ひと)の思(おも)いとか、そういったものを背負(せお)ってワールドカップや2年後(2025年)のデフリンピックで優勝(ゆうしょう)を目指(めざ)してがんばりたいと思(おも)っています。そのためには、僕自身(ぼくじしん)が日(ひ)の丸(まる)を背負(せお)うということに見合(みあ)った人間(にんげん)にならないといけないと思(おも)うのですが、今(いま)はまだ全然(ぜんぜん)足(た)りないので、部活(ぶかつ)とか大学(だいがく)でもっと大人(おとな)になれるように頑張(がんば)りたいと思(おも)います」

ワールドカップでの目標を書いてもらいました

──ご自身(じしん)のプレーのどこを見(み)てほしいですか?

「僕(ぼく)はFWなので、ゴールまでのドリブルや貪欲(どんよく)なプレーを見(み)てもらえたら嬉(うれ)しいかなと思(おも)っています」

──デフリンピックが2年後の2025年、日本(にっぽん)で初(はじ)めて開催(かいさい)されます。デフサッカーをはじめとしたデフスポーツの見(み)どころを教(おし)えてください。

「デフリンピックはきこえないからこそ、いろいろな視覚(しかく)情報(じょうほう)があります。サッカーであれば、一般的(いっぱんてき)には審判(しんぱん)は笛(ふえ)を使(つか)いますけれども、デフサッカーの場合(ばあい)は、審判(しんぱん)はみんな旗(はた)を持(も)っているんです。旗(はた)と笛(ふえ)の両方(りょうほう)で合図(あいず)を知(し)らせるんですね。サッカー以外(いがい)だと、例(たと)えば陸上(りくじょう)は、スタートの時(とき)に一般的(いっぱんてき)にはピストルを使(つか)うと思(おも)うんですけれども、デフの選手(せんしゅ)にはピストルの音(おと)がまったくきこえない人(ひと)もいます。そういう場合(ばあい)にどうするかというと、スタートランプが選手(せんしゅ)の目線(めせん)に合(あ)わせた場所(ばしょ)に設置(せっち)されているんですが、赤(あか)が「On your mark(位置(いち)について)」、黄色(きいろ)で「Set(よ〜(ー)い)」、「Go(スタート)」で白(しろ)に変化(へんか)。指示(しじ)を視覚(しかく)情報(じょうほう)で出(だ)して。見(み)に来(き)ていただける場合(ばあい)、そういったところも見(み)て欲(ほ)しいです。あとはやはり手話(しゅわ)ですね! 手話(しゅわ)を使(つか)って話(はな)したり、身振(みぶ)りでコミュニケーションをとったり、そういった部分(ぶぶん)を見(み)てもらえたらなあと」

手話で「デフリンピック」は親指と人差し指で話を作り、上下に

──デフリンピックの会場(かいじょう)は東京(とうきょう)になります。たくさんの人(ひと)に見(み)にきてほしいですよね。

「デフリンピックってほとんどの人(ひと)が知(し)らないんですけれども、オリンピックの次(つぎ)にできたんですよね。パラリンピックよりも前(まえ)なんです。古(ふる)い順番(じゅんばん)でいうと、オリンピック、デフリンピック、パラリンピックなんです。みんな知(し)らないですよね。みんなが知(し)らないことがまだまだたくさんあると思(おも)うので、デフリンピックを実際(じっさい)に見(み)に来(き)ていただいて、デフのことを知(し)ってもらえたらうれしいですし、手話(しゅわ)とかも勉強(べんきょう)してもらえたらすごく嬉(うれ)しいなあと思(おも)っています。デフリンピックの知名度(ちめいど)も日本では大体約12%って言(い)われているんです。それに対(たい)して、パラリンピックは90%以上なんです。やはり、そこの差(さ)があるんですね。だから、日本代表の選手(せんしゅ)たちがSNSを使(つか)って宣伝(せんでん)したり、メディアの取材(しゅざい)を受(う)けたり、いろいろな活動(かつどう)を通(とお)して積極的(せっきょくてき)に動(うご)いて、デフリンピックへの思(おも)い、デフサッカーの魅力(みりょく)を伝(つた)えていくことができたらというのが僕(ぼく)の思(おも)いです」

拍手(はくしゅ)をするときは手(て)をたたかずに両手(りょうて)をあげてひらひらさせます

──これからの目標(もくひょう)や夢(ゆめ)を教(おし)えてください。

「これからデフサッカー日本代表(にっぽんだいひょう)選手(せんしゅ)として世界(せかい)で活躍(かつやく)していける人(ひと)になりたいというのが夢(ゆめ)です。僕(ぼく)みたいに、今(いま)までいろいろなコミュニケーションや聴覚(ちょうかく)の面(めん)で苦労(くろう)している人(ひと)とか、デフに限(かぎ)らず、世(よ)の中(なか)でいろいろな面(めん)で大変(たいへん)な思(おも)いをしている人(ひと)がいると思(おも)うんですね。例(たと)えば、障(しょう)がいがあるとか、気持(きも)ちがほかの人(ひと)と違(ちが)うとか、いろいろな悩(なや)みを持(も)っている人(ひと)がいると思(おも)うんですけれども、そういった人(ひと)たちに少(すこ)しでも勇気(ゆうき)を与(あた)えられる選手(せんしゅ)になれたら、というのが僕(ぼく)の思(おも)いです。障(しょう)がいがあるとか、マイノリティーの立場(たちば)の人(ひと)が、もっと生(い)きやすい社会(しゃかい)になったらいいなというのが、僕(ぼく)の夢(ゆめ)で。今(いま)の世(よ)の中(なか)って、マイノリティーの立場(たちば)の人(ひと)がちょっと生(い)きづらい環境(かんきょう)だと思(おも)うんです。いろいろなマイノリティーの立場(たちば)の人(ひと)がいると思(おも)うのですが、そういった人(ひと)たちが生(い)きやすくなるように、楽(たの)しく人生(じんせい)が過(す)ごせるように、希望(きぼう)を持(も)ってもらえるようになればいいなって思(おも)っています。あとは、今(いま)まで支(ささ)えてくれた家族(かぞく)や先生(せんせい)、いろいろ支(ささ)えてくれた人(ひと)たちの思(おも)いをしっかり背負(せお)って、今年(ことし)はマレーシアのワールドカップで、そして2年(ねん)後(ご)のデフリンピックで、1つ1つのプレーにしっかりと思(おも)いを込(こ)めて、責任(せきにん)を持(も)ってプレーして、優勝(ゆうしょう)を目指(めざ)したいと思(おも)っています」

瀧澤選手から読者のみなさんへのメッセージです

(取材日:2023年6月1日/撮影:2023年6月1日、9月11日 少年写真ニュース編集部 吉岡)

瀧澤諒斗選手のSNS

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Instagram https://www.instagram.com/aki_2810/
note https://note.com/deaf1028

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