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学校は自分と世界を幸せにするための学まなび場ば 〜新渡戸にとべ文化中学校・高等学校〜

2025年3月31日 by Sato

そこはまるで夢のような学校でした──生徒が先生とともに、自由に考え、学び、活動している「新渡戸にとべ文化中学校・高等学校」(東京都中野区)。

2024年3月2日から3日にかけて、生徒の1年間の学びの成果せいかを発表はっぴょうする「スタディフェスタ」が開催かいさいされ、生徒たちの「好き」を探究たんきゅうした多彩たさいな展示てんじやイベント、ワークショップなどが生徒たちの手によって行われました。 「少年写真ニュース」にて取材させていただき、その模様もようは、2024年6月18日号にて掲載けいさいさせていただきました。

新渡戸文化中学校・高等学校校門。生徒が制作した「スタディフェスタ」のポスターも掲示

自分だけではなく、誰かを、そして世界中を笑顔にできるよう、未来を豊ゆたかに生きていくための学びを通じて、社会が抱えるさまざまな課題や誰かの困りごとの解決かいけつに向けて積極的せっきょくてきに行動していける人=「Happiness Creator」(しあわせ創造者そうぞうしゃ)の育成いくせいを目標とする、新渡戸文化中学校・高等学校の校長である小倉良之先生をはじめ、プロジェクトデザインチームの勝田浩次先生、教育きょういくデザイナーの高橋伸明先生にお話を伺うかがいました。

向かって左から、校長の小倉良之先生、教員の勝田浩次先生、高橋伸明先生

──校舎もまだ新しく、設備も充実していて、何より生徒たちがとても楽しそうですよね。

小倉良之校長先生(以下小倉先生)「この学校では、2019年くらいから学校改革かいかくを始めています。当初は僕を含めた3人で、いろいろな学校から集まった教員たちと週に1回会議を開いて、学びをデザインしてきました。今は生徒がたくさんいますが、僕がこの学校に来た頃ころは少なくて、閑散かんさんとしていたんです。しかし、2020年には、小中高含ふくめて20名近くの新しい教員が入ってきました。こんなににぎやかになって、楽しいし、うれしいですよね」

──子どもたちが学年に関係なく、気軽きがるに話をしていて、大人とも対等たいとうに話すことができるコミュニケーション能力のうりょくの高さに驚おどろきましたが、学校ではどのような子どもたちの育成いくせいを目標もくひょうとしているのでしょうか?

小倉先生「『Happiness Creator』(しあわせ創造者)という言葉を掲かかげ、自分と誰かを幸せにする、自分と世界を幸せにすることができる人の育成が最終的な目標です。生徒たちの能力が上がっているときの条件じょうけんというものがあって、これは連携れんけいしている大学との調査ちょうさの数値すうちでもわかってきていることなのですけれども、現場で大人と会うこと、社会貢献要素こうけんようそが入っていること、この2つが入っていると、生徒たちの力は伸びるんです。これが数字で見えているので、すごく意識しています。僕たちや生徒は、『勉強』というより『学び』という言葉を使うのですけれど、大学受験のために手段しゅだん化された勉強だと、どうしてもその先にはいかないですよね。大学に受かった瞬間しゅんかんに、必要ひつようがなくなりますから。ですので、例えば、生徒には『卒業までに100人の大人に会おう』と言っています。中高生で親と生徒以外の大人に会う機会きかいってなかなかないので、彼らが社会で活躍かつやくしている大人に会うことを大事にしています。コロナ禍かの中で、Zoomを手に入れたことができたのもすごく大きいですね。行かなくても会えますから。会ってもらう側がわにも負担ふたんをかけなくて済みますので、手法としてZoomはすごく便利で、積極的せっきょくてきに活用かつようしています。そうした学びは卒業後、きっと役に立つことにつながると思っていますし、そういうことが認められる世の中であって欲しいです」

──「卒業までに100人の大人に会おう」っていうのは、普通の学校生活じゃあり得ないですよね。

勝田浩次先生(以下勝田先生)「僕らの感覚かんかくでは、それを夢で終わらせないために、ここでやっていることが、この学校だけで持続じぞくしていくというだけではなくて、ほかの学校にも広げていきたいんです。新渡戸のやり方を見てもらって、教育を変えて、将来しょうらい的にはいろいろな学校に波及はきゅうさせていきたいという未来予想図よそうずを描えがいています。今のままで終わらせてはダメだというのがこの学校で働いている教員の間での共通認識きょうつうにんしきです」

段から交流を持つ漁師さんとコラボして未利用魚を販売

──生徒たちが自みずから行動しているという姿すがたがこの「スタディフェスタ」でも見てとれましたし、実際じっさいに生徒の皆さんとお話ししてみると、自分の関心かんしんごとがあって、それを知りたい、もっと深めていきたいという思いで、自分で考えて、探してみる中で、自然と学びにつながっているという印象いんしょうを受けました。

勝田先生「『自律型じりつがた学習者』という言葉を使っているんですけれども、先ほどの『Happiness Creator』(しあわせ創造者)の育成いくせいを軸じくに、自分の意志いしで学び続けられる子どもたちを育てていったり、そういう人になってもらったりというプロセスの中で、僕らもいくつか工夫くふうをしていて、その効果が出ているのかなって感じました。たとえば授業ではゴールを変えるんです。普通の学校でしたら、中間テストや期末テストがあって、その結果で成績せいせきをつけると思うんですけれど、新渡戸の場合は、アウトプット型テストといって、パフォーマンス課題に取り組むことが、学習のゴールになります。プレゼンテーションをしたり、小論文しょうろんぶんを書いたり、演劇えんげきをしたり。学校の学習自体が先生から知識注入されるだけではないというスタイルで、それに生徒たちも慣なれてくれているから、やりたいことをやっていいんだって思ってくれているんだと思います」

──授業がない日があるんですよね。

勝田先生「水曜日は丸1日、時間割としては何も設定しないんです。生徒たちがどう使うかを決められるんですね。この余白よはくをどうしたらいいか自問自答じもんじとうすることで、自分自身と向き合って欲しいと思っています。普通の学校だったらそういう余白がなくて、自分と向かい合える時間を学校ではとれないですよね。新渡戸では探究たんきゅうしながら、自分と向き合えるし、今回の『スタディフェスタ』のような機会の中で、自分で発表することで、それを改めて見つめ直すことにつながると思います」

──思ったことをすぐに形にできる施設しせつが学校内にあると生徒から聞きました。

勝田先生「子どもたちがやりたいなと思ったら、それを作ったり、試したりできるクリエイティブ環境かんきょうが校内にあります。『VIVISTOP』といって、3Dプリンターやレーザーカッターとか、デジタルファブリケーション機器ききも置おいてあって、そこにいるクルーの方に声をかければ、アイデアを出してくれたり、いっしょに作ってくれたりします。世界中でも学校にあるのは新渡戸だけなんですが、実は生徒だけじゃなくて、誰でも作業ができるんです。たまたまそこに作業に来ていた社会人や大学生と、自然と混まじることができるんですよね。学校内だけではなく、外部がいぶの方とも関かかわりが持てるんです」

──中高生のときにそういう大人と出会うと、きっと価値観かちかんが変わりますよね。

勝田先生「そういうところでいうと、僕たち教員も、実は教員だけをやっている人だけじゃないんです。僕らが兼業けんぎょうしながら働はたらいている姿すがたを見せることで、子どもたちに『道はひとつじゃないんだ』ってことが、言葉以外のメッセージで伝わっているんじゃないかなと持っています。当然とうぜん教員免許めんきょは持っていますが、たとえば僕が企業から仕事を業務委託ぎょうむいたくされていて、別の学校のコース作りの手伝いをしていますし、教育分野ぶんやのICTコンサルタントをしていたりします」

高橋伸明先生(以下高橋先生)「私は3つくらい掛かけ持もちしています。ここでは教員ですが、大学でも教員をしていて、さらには私自身が大学生なんです。行政ぎょうせいやNPOにも籍せきがあって、学校だけではなく、地域ちいきとどうつながっていくかとかも考えています」

──高橋先生は新渡戸文化学園では、中学生のSDGsアクションプロジェクトをご担当されています。(参考:新渡戸文化学園のSDGsへの取り組み)

高橋先生「SDGsに注目して、持続可能じぞくかのうな未来に向けて活動かつどうしている『Action for Future』(AFF)というラボ活動を担当しています。『子どもたちが生きたい未来を生きるために、今、何をしなくてはいけないのか』と考えることが、すごく大事だと思っています。自分の『好き』や、その先にある『生きたい未来』に変えるために、どんなことを解決かいけつしないといけないのかを考えていくと、自ずと今やらなくてはいけないことなどを行動こうどうにしやすくなるんですよね」

──本当に理想的な学校だと改めて思います。先生方が描いている学校像ぞうになっているのではないかと思いました。

勝田先生「いや、今の段階で『これでいいよね』って思っている教員はほぼいないんじゃないでしょうか? 校長先生もそうだし、僕たちから見ても、できていないところもあると思います。教員一人ひとりがそこをちゃんと認識していて、それを解決するために、学校の中で改善するためのアクションを起こします。実は僕たちも、子どもたちと同様に『問題解決型学習』をしているような感じですね。最後に決める基準きじゅんとなるのが『Happiness Creator』につながるのか、『自律型学習者』につながるのかなのですが、その大きな目標がぶれていないので、僕らはいつもそこに立ち返って、『本当にこれでハッピーなのかな?』とかを考えたり、それを話し合えたりっていうのが、この学園の強みなのではないかと思っています。僕は2年前から学園に参画さんかくしているんですけれど、ここで働く価値がすごくあるって思っています。自分がいちばん自分らしくいることができる場所だなって」

──理想の生徒像というのはありますか?

小倉先生「生徒たちに求めるのは、メタ認知にんちができていることですね。できている人であれば、どこへ行っても幸せになれると思います。自分のことを俯瞰ふかんして見ることができれば、探究学習たんきゅうがくしゅうをしていると、自己理解りかいが深まるんです。その中で自分がどう動くべきかと、あるいはつねにこうなりたいという気持ちを維持いじする力もついてくるだろうから。周りに合わせるのではなく、俯瞰ふかんして、その中で自分のやるべきこと、やりたいことを成なし遂とげられるような、そういう生徒になってほしいですよね。そのメタ認知力については、僕はまだまだ弱いと思っていますけれども。新渡戸稲造さんは、亡くなる前の最後の朝礼で『何だか後光が放っているような、明るい気分の人がいるという学校でありたい』っておっしゃっているんですけれど、本当にそうだと思うんですよ。こちらがうれしくなるような、明るいオーラのある人になってくれるといいなと思いますね」

──学園の魅力について、改あらためて教えてください。

高橋先生「子どもたち自身が自分と社会と未来を変えることができる学校だなって思います。この学園の教員もみんな、学園をどうしたいかじゃなくて、日本の教育をどうしていこうかという枠組わくぐみで考えているんですよね。『そんなの夢物語でしょ? 新渡戸さんだからできるんでしょ?』って言われることもあります。ソーシャルチェンジをすることは、まだまだ大変だなって自分自身も感じてはいるんですけれど、子どもに目を移せば、実は子どもたちのほうがよほど世界を変えていて、自分たちが想像もつかないところから話を持ってきたり、企業や大学、学会を動かしたり、そういう子どもたちが出てきているんですよ。そう考えると、子どもたちのほうが社会を変えているなって思っています。高校3年生の生徒たちに話を聞くと、6年前に想像しなかった自分が今いて、自分が想像しなかった未来を生きようとしているという子が結構けっこう多いんですよね。この学園から、自分を変えて、社会を変えて、自分たちの国や未来を変えようとしている子たちが生まれてきているのかなと思っています。自分で社会や未来を変えたいと思っている子どもたちや教員のみなさんはこれからぜひこの学園で仲間なかまになれたらと思っています」

勝田先生「大学名で大学を選ぶのではなくて、やりたいことや学科、研究室けんきゅうしつや教授きょうじゅの先生の名前で選んでいる子が出てきていますね」

高橋先生「大学の先生から『来てくれてありがとう』って直筆じきひつのお手紙が届いたり、学会の発表でも高校生に教授たちが名刺めいしを持って集まってくる、みたいなことにもなっています」

勝田先生「自分のことを考える時間がたくさんあるところが魅力みりょくだと思っています。僕は中学生を主おもに見ているんですけれども、子どもたちと毎日接せっしている中で、自分が中学生のときにここまで自分と深く向き合ってこなかったなと、感じています。大人になってもまだまだ自分のことを深く考える必要があるというのはありますが、自分が中学生のときのことを振り返ったら、ここまで自分のことを知ろうとはしなかったなって。矢印が自分に向いていることすらなかったなって。僕は大学生になって就職活動しゅうしょくかつどうをするときに改めて自己分析ぶんせきをした感じでしたが、この学園の子たちは一歩も二歩も先に進んで自分と向かい合っているなっていうのをすごく感じています。自分と向き合う時間をたくさんとれる学校だと思います」

──最後に校長先生からお願いします。

小倉先生「生徒たちもこの学園へ来て変わったという子が本当に多いんです。楽しかったって。何より学校満足度が100%ですから。やっぱりここが始まりの場所なんだなって、僕は思っています。変わりたいと思って変わっただけっていう、振り返ると、あのときが今の仕事の始まりだったんだって、きっとそう思えることがたくさんある、始まりとなる場所だと思っています」

高校の「美術コース」では個性あふれる作品を披露
高校の「フードデザインコース」では食材を無駄なく使ったそばやピザを販売
学園で栽培した藍を使って藍染文化を発信するプロジェクト「藍する新渡戸」
スタディフェスタで生徒たちは自ら制作した冊子なども販売
生徒たちですべてを運営したクロージングイベントはプロ顔負けの大迫力

(取材・撮影日:2024年3月3日 少年写真ニュース編集部 吉岡)

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カテゴリー: 学校現場から

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