子どもたちがたくさん訪れる夏休み前に、サンシャイン水族館(東京・池袋)で、生き物たちが生活する水槽の水を抜いて内側の汚れをとる「落水清掃」が行われました。
「水槽ピカピカ大作戦」の様子をのぞいてみよう!
約70ある水槽のうち、「天空のペンギン」水槽や、クラゲの水槽としては国内最大級の「クラゲパノラマ」水槽などの大型水槽を含め、6つの水槽の水を抜いて、その水槽の生き物を担当する飼育スタッフなどが、水槽内のアクリルや壁、床などの汚れを落としていきます。
(1)「天空のペンギン」水槽(屋外エリア マリンガーデン)
都会のビル群の上空をケープペンギンたちが飛び交うように泳ぐ「天空のペンギン」水槽では、高いところでの作業も必要になり、上と下にいるスタッフのコミュニケーションが大事になります。

水を抜いたら深い部分のアクリルを磨いたり、水槽の中をこすってていねいに洗ったりします。

掃除が完了し、水槽に再び水が入るのを、ケープペンギンは翌朝まで待ちます。

翌朝、営業時間前にペンギンたちが水槽に戻ります。

きれいになった水槽で泳ぐペンギンたちは、気持ちよさそうで楽しげです。

(2)海月空感「クラゲパノラマ」水槽(館内1階)
クラゲの水槽としては国内最大級の約14mの横幅の「クラゲパノラマ」水槽では、掃除をするために、水流に漂うミズクラゲを優しくすくい上げてバックヤードにある予備水槽に移動させます。クラゲは、水族館で繁殖させているそうです。

漂うクラゲを、ていねいに網ですくいます。

クラゲはもろいため、一気に運ぶことができないため、少しずつバケツに入れて、バックヤードまでていねいに運びます。

クラゲをすべて移動させたら水槽の水を抜いて、水槽のアクリルの汚れや水槽の底にたまったコケなどを落とします。

サンシャイン水族館で飼育スタッフ(魚類担当)をしている鴨下悠加さんに掃除の方法やたいへんな点、気を使うところなどを教えていただきました。
「ふだん、「クラゲパノラマ」水槽の掃除は、水槽の上からこすり掃除を行っていますが、それだけでは追いつかないほどの汚れがついてしまうので、大型連休や夏休みなどのお客さまが多くいらっしゃる日の前に、水を抜いて掃除しています。「クラゲパノラマ」水槽は大きな水槽なので、生き物をすべて移動するのも、水を抜くのも、水をためるのも掃除するのも、とてもたいへんです。また、裏側はとても狭く、作業がしにくい場所がたくさんあるので、事故がないように気をつけています。さらに、殺菌などをするため、薬剤を使用して掃除するので、しっかり薬を中和して洗い流さないと生き物が死んでしまいます。その点にも注意しています」
次亜塩素酸ナトリウムを使った清掃のあと、じょうろで中和剤をかけて水洗いをし、次亜塩素酸ナトリウムをしっかりと落とします。

ピカピカになった水槽に新しい海水を入れ、翌朝、バックヤードからクラゲを水槽に戻します。

水槽にだんだんクラゲが戻ってきていますが、まんべんなく漂うまでには時間がかかります。

鴨下さんに水族館での仕事の魅力をお伺いすると、「さまざまな仕事がありますが、飼育スタッフの仕事は、主に生き物の体調管理、餌作り、餌やり、掃除、解説、イベントの企画などがあります。この仕事の魅力は、解説やイベントの企画などを通じて生き物の魅力などをお客さまにお伝えするとともに、環境問題などにも関心をもってもらうお手伝いができることです。自然の環境を知り、それを水槽で表現できることも楽しいです」と話してくれました。
クラゲのふわふわとした動きのことを「拍動」といい、それはまさに生きるための心臓の鼓動のようなものです。ミズクラゲの体には四つ葉のクローバーのような模様があるのですが、これは実は「胃」! 通常は4つですが、よく見ると5つあったり、3つだったりなどのミズクラゲもいるそうなので、時間をかけてじっくりと眺めてみてください。

(3)「湖にすむアザラシ」水槽(館内2階)
ロシアのバイカル湖に生息し、淡水で過ごす唯一のアザラシ、バイカルアザラシ。まんまるの体にくりっとした目で、サンシャイン水族館でも人気者。レオ(オス)とラム(メス)の2頭が、生活しています。
一面が厚い氷で覆われる真冬のバイカル湖をイメージした水槽は、氷のレプリカを浮かべています。
掃除は水を抜きながら行い、氷のレプリカもこすり掃除をしてから消毒をします。

水がなくなった水槽の中で、ゴロンと転がっているかわいいアザラシの姿は、なかなか見ることができません。

掃除が終わったら水を入れて、ピカピカの水槽に。

見どころたくさん! サンシャイン水族館
サンシャイン水族館でこの夏、特に見てほしい生き物について、鴨下さんは、「カリフォルニアアシカに赤ちゃんが生まれました。赤ちゃんのアシカは今しか見られないので、ぜひ、この夏に見に来ていただきたいです」と教えてくれました。(※生き物の状況により展示が変更されることもあります)
6月15日に、カリフォルニアアシカのチャップ(オス)とパコ(メス)の間に生まれた赤ちゃんは、屋外エリアのマリンガーデン「アシカたちの砂浜」で見ることができます。パコが赤ちゃんを育てる貴重な姿を見ることができるかもしれません。見るときにはアクリル面には近づかないようにしてください。

ケープペンギンの「ぽてと」も水族館生まれの1歳。お尻にかけてまだ羽(毛)が白い状態で見ることができるのは、子どものときだけ。

ぽてとは6月30日頃に初めての換羽(羽毛が抜けかわり、新しい羽が生えてくること)が始まりました。そこから10日程度で大人の姿になる予定ですので、大人になったぽてとにも会いに来てください!

今年から始まった「天を仰ぐ太刀魚」水槽でのタチウオの常設展示は、東日本では唯一。飼育スタッフなどがチームをつくって東京湾や駿河湾で採集して、飼育をしているそうです。

浅い珊瑚礁をイメージした大水槽「サンシャインラグーン」は、魚の躍動感と優雅に泳ぐエイを見ることができます。
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左回りに泳ぐマイワシが大迫力の「生命の躍動」水槽。どうして左回りなのかというと、日本人は魚の頭が左側だと落ち着く「左頭」や「左が上位」という伝統的な日本の考え方などを意識したんだそうです。
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そして、11月24日(月・祝)まで、特別展会場(ゲストルーム)で開催中の特別展「真夜中のいきもの展」。夜や暗闇で活動する生き物に焦点を当てて、洞窟、海、森をコンセプトに、真っ暗な環境を好む約20種の生き物を展示しています。日中は寝ていることが多い夜行性の生き物たちが活動していたり、暗闇で発光していたりする様子など、なかなか見ることができない生き物たちの姿を間近で観察することができます。

日本国内では2個体のみが飼育されている、スライゴオオサンショウウオ。

くりくりしたつぶらな瞳と首の動きがかわいい、アカアシモリフクロウ。

この夏休みは、サンシャイン水族館にたくさんの生き物に会いに行きましょう!
サンシャイン水族館からのお知らせ
サンシャイン水族館を楽しみたい方に向けたファンクラブ会員制度「アクアリウムクラブ」(Aquarium Club)では、会員を募集中。生き物好きにおすすめの、毎日朝から晩まで水族館を楽しめる「プレミアムプラン」、ファミリー向けで、平日のんびりお得に水族館を楽しめる「スタンダードプラン」の2種類があります。会員だけが貴重な体験ができる「プレミアム感謝祭」も実施されるので、興味がある方は、ホームページでご確認ください。
サンシャイン水族館
所在地:東京都豊島区東池袋3−1 サンシャインシティワールドインポートマートビル・屋上
営業時間:10時〜19時 ※最終入場は終了30分前 ※季節・曜日で変動
入場料:大人(高校生以上)2,600円〜、こども(小・中学生)1,300円、幼児(4歳以上)800円 ※変更の場合あり
問い合わせ先:サンシャイン水族館 03-3989-3466
https://sunshinecity.jp/aquarium
※土日祝日および特定日は、入場制限を行っておりますので、事前予約(日時指定・日付指定)が必要です。詳しくは水族館ウェブサイトをご確認ください。
※特別展「真夜中のいきもの展」の入場料は600円です。
(取材・撮影 2025年6月20日「デジタル少年写真ニュース」吉岡/取材協力:サンシャイン水族館)