8月1日から始まる東北六大祭りに先がけて、東北の元気な姿を感じてほしい——そう語ったのは、岩手県盛岡市の内舘茂市長。今年の「東北四季の彩り&東北絆まつり」は、その言葉どおり、大いに盛り上がりました。

「東北絆まつり」は、東日本大震災からの復興を願って始まった「東北六魂祭」を引き継ぐイベントです。「多彩な東北が、熱い絆でひとつになる」をコンセプトに、例年は東北6県の県庁所在地6市で持ち回り開催されてきましたが、今年は特別に6月13日(金)から15日(日)までの3日間、大阪・関西万博で開催されました。
大阪・関西万博の会場に、東北6市の夏祭りが(青森ねぶた祭、盛岡さんさ踊り、秋田竿燈まつり、仙台七夕まつり、山形花笠まつり、福島わらじまつり)が集まり、会場には大きなねぶたや七夕飾りも展示されました。

6月15日(日)に行われた東北絆まつりパレードでは、約550人の踊り手たちが会場を練り歩き、迫力のある演舞を披露。会場を訪れた5万人以上の観客を魅了しました。

パレードは秋田竿燈まつりからスタート。ちょうちんの数46個、重さ約50kg、高さ約12mもある巨大な竿燈を差し手と呼ばれる人たちが「手のひら」や「肩」、「おでこ」などの体の一部を使って自在に操ります。国の重要無形民俗文化財にも指定されていて、「どっこいしょ〜、どっこいしょ〜」と声をかけながら、竿燈があがる姿は大迫力!


盛岡さんさ踊りでは、「サッコラ チョイワヤッセ」の掛け声とともに、力強い太鼓と華麗な踊りが繰り広げられました。

山形花笠まつりでは、花笠太鼓の音色と鮮やかな衣装をまとった踊り手たちの群舞が会場を魅了。

「仙台すずめ踊り」では、仙台七夕まつりの七夕飾りも参加して、すずめのようにぴょんぴょん跳ねる姿が特徴的な踊りが披露されました。


福島わらじまつりでは、長さ約12m、重さ約2tにもなる巨大なわらじが登場し、笛太鼓の演奏に合わせて「わらじおどり」が披露されました。わらじの上に乗る、乗り手のパフォーマンスにも大歓声が起きました。


青森ねぶた祭では、「ラッセーラー!ラッセーラー!」という掛け声とともに、ハネト(跳人)と呼ばれる踊り手たちが、元気に飛び跳ねながら踊りました。

最後、もう一度秋田竿燈まつりの差し手の演技が行われたあと、会場に6つの祭りが並び、会場の盛り上がりは最高潮となりました。

「東北絆まつり」の実行委員会会長でもある、仙台市の郡和子市長は、「この祭りは、東北6市それぞれがこれまでずっと歴史を積み重ねてきたお祭りです。まさに一人ひとりが輝くお祭りで、万博のテーマにもある、『いのち輝く』という言葉は、まさに東北絆祭りのテーマでもあると感じました」と力を込めて語りました。

来年の「東北絆まつり」の開催地となるのは、盛岡市です。盛岡市の内舘市長は、「今回、万博で関西の皆様に東北の祭りをご覧いただいたことは、東北復興を訴えることにもつながり、よかったと思います。実際に会場の皆さんとお話ししてみると、東北に来たことがないという方も多くいらっしゃいました。『東北絆まつり』は、東日本大震災から始まりました。その気持ち、志を忘れずに来年も盛岡で盛り上げていきたいと思いますので、全国の皆さんに応援をお願いできればと思っております。今日は勇気と元気を会場の皆さんからいただきましたので、今度は私たちがお返しをしたいと考えています」と話し、「東日本大震災からは14年がたちましたけれど、そのあともたくさんの災害が東北では起きています。先日、岩手県の大船渡で山林火災が発生しましたが、国からの支援、ボランティアの支援をいち早くやっていただいたと感じております。災害を乗り越えながら、私たちも学んで、生活を続けていくことも大切だと感じました」と結びました。

仙台市の郡市長は、「東日本大震災のあとも、大きな災害は頻発しています。災害を乗り越えていく力というものを、しっかり身につけていく必要性を感じています。それを皆さんに、そして世界に発信していくのが、私たちの務めだと思っています。今回は万博で東北の県庁所在地6市のお祭りをご覧いただいたわけですが、それぞれ特徴があり、とてもすばらしい歴史があるお祭りです。今度は現地に来ていただき、おいしいものを食べたり、その土地の歴史文化にも触れたりしていただけますと、とてもうれしく思います」と話してくれました。
東北絆まつり
2017年から始まり、東北の県都6市の6祭りが集結するイベントで持ち回りで開催を続け、2023年に青森市で一巡。2026年は盛岡市で開催予定。
青森ねぶた祭
開催日:毎年8月2日〜7日
秋田竿燈まつり
開催日:毎年8月3日〜6日
盛岡さんさ踊り
開催日:毎年8月1日〜4日
山形花笠まつり
開催日:毎年8月5日〜7日
仙台七夕まつり
開催日:毎年8月6日〜8日
福島わらじまつり
開催日:例年8月の第一金曜日〜日曜日
大阪・関西万博(大阪・関西万博博覧会)
開催期間:10月13日(月)まで
開催場所:大阪 夢洲
(取材・撮影 2025年6月15日「デジタル少年写真ニュース」編集部 吉岡)