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養蜂ようほうに挑戦ちょうせん!〜ミツバチとともに生きる〜

2025年7月24日 by yoshioka

ビルの屋上で養蜂ようほう(ミツバチを育てて、ハチミツをとる)にチャレンジしている会社が東京都江東区こうとうくにあります。


株式会社かぶしきがいしゃムトウユニパック自社ビルの屋上からは隅田川すみだがわと永代橋えいたいばしを望のぞむことができます

隅田川すみだがわにかかる永代橋えいたいばしのたもとにある、封筒ふうとうメーカーの株式会社かぶしきがいしゃムトウユニパックは、会社周辺しゅうへんの自然に恵めぐまれた環境かんきょうを生かして、2022年から養蜂ようほう事業【門仲もんなかビーベース】をスタートさせました。


屋上で作業をするスタッフのみなさん

中心メンバーである古川ふるかわ祐子ゆうこさんに、会社で養蜂ようほうを始めたきっかけを伺うかがいました。


「2022年に江東区こうとうくが実施じっししている江東区こうとうくハニービー・プロジェクトの事務局じむきょくにたまたま営業えいぎょうに行く機会きかいがあって、そのときに『ミツバチ(セイヨウミツバチ)を飼かってみませんか?』と誘さそわれました。くわしく聞いてみたら、養蜂ようほうは地域貢献ちいきこうけんや環境保全かんきょうほぜんにもつながるということでした。弊社へいしゃも紙を扱あつかう企業きぎょうとして、環境保全かんきょうほぜんに関かんする取り組みについては、製品せいひんの端材はざいをリサイクルに回すくらいなどしか、その当時はしていなかったので、ちょっとおもしろいなと興味きょうみを持ちました。会社に話をしたら、すぐに『やってみよう!』ということになり、道具なども購入こうにゅうしてそろえました。江東区こうとうくハニービー・プロジェクトから師匠ししょうを呼よんで、いろいろと教えてもらいながら、1年目は1箱はこだけやってみました。やれそうだというところで、次の年に6箱はこ、今年はさらに8箱はこと、どんどん増ふやしています。仕事との両立は本当にたいへんですが、それでも女性社員とサポートメンバーでがんばっています。やはりミツバチの姿すがたは見ていて楽しいし、もっと知りたくなってしまうんですよね。魅了みりょうされるって、こういうことかなって思うんです。ミツバチの姿すがたを見ると元気になるし、かわいくなってしまって、やめられないんです」


セイヨウミツバチ

養蜂ようほうのサイクルについて伺うかがうと、ちょうど7月ごろが採蜜さいみつのピークとのこと。


「私わたしたちが育てているのは、セイヨウミツバチです。同じミツバチでも、ニホンミツバチは野生なので、自分たちで生きていくことができますが、セイヨウミツバチはお世話が必要ひつようです。乳牛にゅうぎゅうとかと同じ扱あつかいで、セイヨウミツバチはいわゆる家畜かちくとして飼かっています。東京都に届出とどけでも必要ひつようなので、書類しょるいを毎年提出ていしゅつします。3月に入るとちょこちょこ飛とび始めて、春の花盛はなざりになると子育てもさかんになるので、活動が活発になります。私わたしたちは、3月下旬げじゅんから4月の頭に、いつも1回目の採蜜さいみつを行っています。会社の近くに桜並木さくらなみきがあるので、桜さくらの期間に限定げんていして「さくら蜜みつ」も採取さいしゅします。桜さくらは開花期間が短いので、かなり珍めずらしい商品ということもあり、毎年大人気です。ハチミツは、場所や気候きこうによって味の特徴とくちょうも変わるので、それも味わいの楽しみです。そこから夏に向けてミツバチたちが巣すをつくるための板(巣枠すわく)に、蜜みつや花粉かふんを集めてきます。私わたしたちは週に一度、卵たまごがあるか、女王バチがいるか、幼虫ようちゅうやさなぎの様子、あとはダニがついていないかなどを確認かくにんします。ダニは外に出かけたオスのハチについてくることが多いのですが、ハチの体から栄養えいようを吸すい取るので、注意が必要ひつようなんです」


ミツバチの状態じょうたいをしっかり確認かくにん

屋上に設置せっちされているミツバチの巣箱すばこは3段だん重ねで、1段だんにだいたい9枚まいの巣枠すわくが設置せっちされています。いちばん下の段だんが「育児いくじゾーン」で、ミツバチたちが子育てをする場所、ほかの2段だんはそれぞれ巣枠すわくにミツバチが集めた蜜みつが貯蔵ちょぞうされている「ハチミツゾーン」です。


ミツバチの巣箱すばこ

「巣枠すわくを確認かくにんして、ミツバチが、集めたハチミツを蜜みつろうでふたをしたら、それは採蜜さいみつできる合図です」


白くなっている部分が蜜みつぶたがなされた場所です

巣枠すわくの貯蜜ちょみつ具合をチェックして、採蜜さいみつできそうなものは巣箱すばこからいったん引きあげます。ただし、その際さいには甘あまさ(糖度とうど)も必かならず確認かくにんします。


糖度計とうどけいで糖度とうどを確認かくにんします

「ハチミツの糖度とうどの基準きじゅんは78度ですが、私わたしたちは80度に熟成じゅくせいしています。巣すの中でミツバチが羽をパチパチして水分を蒸発じょうはつさせることで、糖とうの濃度のうどが高くなります。ミツバチがとってきたばかりの蜜みつは、もともと水分が多い状態じょうたいなのですが、それをミツバチが、自分たちがおいしく食べることができるように糖度とうどを高めて、熟成じゅくせいしたら蜜みつろうでふたをして保存ほぞんするんです。それを私わたしたち人間がいただく、というのが養蜂ようほうです。ミツバチのお世話をしながら、ハチミツを少しいただく、といったイメージでしょうか。雨が続つづいたり、湿度しつどや気温が高くなったりすることなどがあると、糖度とうどが思うように上がらないこともあります。その場合には、もう1週間様子を見るなどをします。今年の春先は気温が少し低かったので、その分、春の蜜みつは少なめでした。蜜みつの濃度のうどは、花の種類しゅるいでも変かわってきます」


巣箱すばこのなかの巣枠すわくを1つ1つ丁寧ていねいに確認かくにんします

養蜂ようほうの作業は春から夏がピークで、そのあとはミツバチたちが冬を越こせるようにするため、8月上旬じょうじゅんくらいまででその年の採蜜さいみつ作業は終了しゅうりょうします。


「冬を越こすために、ミツバチたちは蜜みつをため始めます。それもいただいてしまうと、ミツバチたちが春まで生き延のびることができなくなってしまいます。オスのミツバチたちは、メスよりも少し体が大きく、働はたらかないのに蜜みつを食べる量りょうが多いので、秋になると巣すを追い出されます。オスがたくさんいると、蜜みつの減へりが早くなってしまうので、出ていってもらわないと困こまるんですね。残のこったミツバチは、冬の間はずっと巣すの中にいて、みんなで温め合いながら過すごします。寒過すぎたり、餌えさが足りなくなったりして死んでしまうこともあるので、冬でも暖あたたかかい日に巣箱すばこの中の様子を確認かくにんして、蜜みつがカラカラになっているようなら、上白糖じょうはくとうをお湯でとかして、砂糖水さとうみずを作って与あたえることもあります。巣箱すばこの温度も、私わたしたちが保たもってあげます。ちょっと過保護かほごかもしれませんが」


たくさんのミツバチが生活しています

オスを追い出してしまうなど、興味きょうみ深い行動をするセイヨウミツバチの生態せいたいについても、古川さんに教えていただきました。


「生態せいたいについては本などでも勉強しましたが、やっていくうちにわかってきます。ミツバチの社会は、女王バチ、働はたらきバチ、オスのハチの3種類しゅるい。働はたらきバチは全員メスなんです。また、働はたらきバチの一生は2か月で、その2か月でティースプーン1杯ぱい(わずか2.5g)のハチミツを集めます。働はたらきバチは、生まれてからしばらくは内勤ないきんバチで、巣穴すあなのそうじをしたり、子育てをしたりします。そのあと門番や、巣すに風を送る係などをして、1か月くらいたつと外に出ていき、蜜みつを集めるようになります。巣すを支ささえる重要じゅうような役割やくわりを担になっています」


子育てをしている様子

女王バチはどんなハチなのでしょうか?


「女王バチは体が大きく、1つの巣すに1匹ぴきと決まっています。それ以上いじょうの数が生まれそうなことが、さなぎの段階だんかいでわかったら、そのさなぎを除去じょきょします。ローヤルゼリーは、女王バチのさなぎの中に入っているんですよ。食べると苦いです。女王バチの寿命じゅみょうは、長くて2年くらいでしょうか。主に巣すの中で卵たまごを産うむ役割やくわりで、毎日1000〜2000個この卵たまごを産うみます。働はたらきバチは卵たまごからおおよそ3週間で成虫せいちゅうになりますが、どんどん入れ替かわっていきますし、みんなきょうだいなんですよね」


写真の中央にいるのが産卵中さんらんちゅうの女王バチで、周まわりの働はたらきバチがそれを見守ります。丸まるく囲かこむ様子を「ロイヤルコート」をいいます

女王バチのさなぎは、すでに女王バチがいる場合は除去じょきょします

オスのハチはどのような生態せいたいなのでしょうか?


「オスのハチは働はたらかず、餌えさも働はたらきバチからもらいます。女王バチとの交尾こうびが主な仕事で、交尾こうびをしたオスは死んでしまいますし、交尾こうびができなかったオスも、巣すを追い出されて、最終的さいしゅうてきには死んでしまいます」


巣枠すわくの「子育てゾーン」では、ミツバチの卵たまご、幼虫ようちゅう、さなぎ、成虫せいちゅうになるまでを見ることもできます。ミツバチたちは自分たちの胃いの中でろうを作って、それで巣すを作り、女王バチが巣穴すあなに1つ1つ産うみつけた卵たまごを働はたらきバチが育てます。


1つの穴あなに幼虫ようちゅうが1匹ぴきいます。さなぎになると働はたらきバチが穴あなにふたをします

羽化うかしてふたから出てきたミツバチ

「子育てをしているときには、穴あなに顔を突つっ込んで幼虫ようちゅうに餌えさをあげている様子を見ることもできます。とてもかわいいです」と古川さんは笑顔えがお。「かわいいといえば、花から集めた花粉かふんを丸めた花粉団子かふんだんごを後ろ足につけて運んでくるのですが、その様子もかわいいです」とのこと。


穴あなに頭を突つっ込こんで子育てをするミツバチ

両足に花粉団子かふんだんごをつけて運んできた働はたらきバチ(写真中央)

「ミツバチを育てるようになって、鳥が屋上に来るようになりました。ミツバチを餌えさとして取りに来るんですね。ミツバチの死骸しがいは床ゆかに落ちるものもあるので、それを集めて野菜やさいを育てている畑に埋うめるなどをしています。ミツバチが花から蜜みつを集める際さいに受粉じゅふんして植物が実を結むすび、それをまた食べる動物がいたり、ミツバチを食べに来る鳥などがいたりと、生態系せいたいけいが循環じゅんかんしている様子を目の当たりにできるので、そこに自分がどう貢献こうけんできるのかをさらに考えることもあります。エコというところでは、巣枠すわくを確認かくにんするときに、ミツバチを落ち着かせるためにまく煙けむりは、工場で出た廃棄物はいきぶつを燃もやして使うなどをしています」


燻煙機くんえんきでけむりを吹ふきかけるとミツバチがおとなしくなります

会社では、ハチミツの抽出ちゅうしゅつ作業も行っています。


「先ほどもお話ししましたが、蜜みつぶたができたら採蜜さいみつの合図なので、巣枠すわくを回収かいしゅうして、ハチミツを抽出ちゅうしゅつする作業を行います。巣枠すわくの重さは2kgくらいあるのですが、それを持って、蜜みつぶたをナイフで削けずる作業も、遠心分離機ぶんりきを自分で回す作業もすごく力がいるので、たいへんです」


ハチミツたっぷりの巣枠すわく

蜜みつぶたをナイフで削けずると、ハチミツの甘あまい香かおりが漂ただよってきます。蜜みつがあふれてくるのがわかります。


ナイフで蜜みつぶたを削けずると蜜みつがあふれてきます

蜜みつぶたをきれいに削けずったら、巣枠すわくを遠心分離機ぶんりきにセットして、ハンドルを回してハチミツを取り出していきます。


巣枠すわくをセットします

ハンドルを手で回して、巣枠すわくからハチミツを取り出していきます

遠心分離機ぶんりきの底そこにたまったハチミツは、容器ようきに移うつしてろ過かします。


ハチミツを容器ようきにためてろ過かします

「ろ過かしたあとは、5kg瓶びんに詰つめて、それを近くにある障しょうがい者しゃ福祉施設ふくししせつへ運んで、商品用の瓶詰びんづめをしてもらいます。削けずりとった蜜みつろうは、ろうそくづくりのワークショップなどに提供ていきょうして、活用していただいています。昨年度さくねんどは約やく3か月の採蜜さいみつ期間で、約やく501kgのはちみつがとれました」と古川さん。


ろ過かしたハチミツはこの容器ようきに入れて商品用の瓶詰びんづめ作業をしてもらう施設しせつへ持っていきます

すべてが手作業で本当にたいへんですが、それでも楽しいとがんばる古川さんは、「ハチミツは江東区こうとうくのふるさと納税のうぜい返礼品にも採用さいようしていただいていますが、よりたくさんの人にハチミツや私わたしたちの活動について、もっと知っていただきたいです。あとは、江東区こうとうく内でやっている輪わが、もっと広がるといいなと思っています。私わたしたちのハチミツは『江東こうとうブランド』に認定にんていされていて、その仲間なかまの集まりがあるのですが、特とくにミツバチの輪わがこれからもっと広がっていけばいいなと思っています」と今後の目標もくひょうも話してくださいました。


古川ふるかわさん

瓶詰びんづめされたハチミツは、「門仲もんなかはちみつ」として販売はんばいされるほか、「江東区こうとうくハニービー・プロジェクト」を通じて、江東区こうとうく内の小学校に寄贈きぞうしています。また、地域ちいきの飲食店で「門仲もんなかはちみつ」を使ったドリンクやスイーツメニューを開発してもらったり、販売はんばいイベントなどにも積極的せっきょくてきに参加さんかしたりしています。地域ちいきの名産品めいさんひんになるように、養蜂ようほうに力を注ぐ古川さんたちの活動に、今後も注目です。


とれたての「門仲もんなかはちみつ」

株式会社ムトウユニパック【門仲ビーベース】
Instagram公式アカウント https://www.instagram.com/monnaka_bee_base/
X公式アカウント https://x.com/monnaka_beebase
通販サイト「TsuTsu日和」
https://tsutsubiyori.com/?mode=cate&cbid=2826890&csid=0
江東区ハニービー・プロジェクト https://honeypro-koto.or.jp

(取材・撮影:2025年7月17日「デジタル少年写真ニュース」編集部 吉岡)

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カテゴリー: いきものタグ: セイヨウミツバチ, ハチ, ハチミツ, ハニー, ハニービー, ミツバチ, ムトウユニパック, 夏, 封筒, 昆虫, 江東区, 江東区ハニービー・プロジェクト, 生き物, 花, 虫, 蜂, 蜂蜜, 門仲はちみつ, 食べ物, 養蜂

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