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生存確認せいぞんかくにんされている個体こたいは世界で2個体こたい!「スライゴオオサンショウウオ」の謎なぞに迫せまる!

2025年8月19日 by yoshioka

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サンシャイン水族館(東京・池袋いけぶくろ)で11月24日(月・振替ふりかえ休日)まで、夜や暗闇くらやみで活動する生き物に焦点しょうてんを当てた、特別展とくべつてん「真夜中のいきもの展てん」が開催かいさいされています。



その中で、ふだんなかなか見ることができない、注目の生き物が展示てんじされています。

日本で2個体こたいしか生存せいぞんが確認かくにんされていない、「スライゴオオサンショウウオ」です。


写真:サンシャイン水族館提供

サンシャイン水族館と、広島市にある安佐あさ動物公園で「チュウゴクオオサンショウウオ」として飼育しいくされていた2個体が、中国ではすでに絶滅ぜつめつしたと考えられていた「スライゴオオサンショウウオ」であることが、京都大学の研究により、2024年に判明はんめいしました。

生存せいぞんする個体こたいは、日本、そして世界において、この2個体こたいだけしか確認かくにんされておらず、その姿すがたを見ることができるのは、サンシャイン水族館の特別展とくべつてん「真夜中のいきもの展てん」だけです。


8月18日(月)、そのスライゴオオサンショウウオを発見した、オオサンショウウオ研究の第一人者である、京都大学大学院地球環境学堂及ちきゅうかんきょうがくどうおよび総合そうごう人間学部教授きょうじゅの西川完途にしかわかんと先生と、スライゴオオサンショウウオを長年飼育しいくしてきたサンシャイン水族館の飼育しいくスタッフの上市光之かみいちひかりさんによるサイエンスセミナーが、サンシャイン水族館で開催かいさいされました。


スライゴオオサンショウウオってどんな生き物?


・中国原産げんさんのチュウゴクオオサンショウウオの一種いっしゅで、最もっとも体が大きくなる種類しゅるいで「世界最大さいだいの両生類りょうせいるい」ともいわれている

・「特定とくてい外来生物」に指定されているものの、「絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅ」の中でも、ごく近い将来しょうらいにおける、野生での絶滅ぜつめつの危険性きけんせいが極きわめて高いもの(CR)に登録とうろくされていて、ワシントン条約じょうやくで保護ほごされている

・個体数こたいすうが少ないため、生態せいたいはあまり解明かいめいされていない

・日本で発見されたのは4個体こたいで、そのうち生存せいぞんしているのが2個体こたい(2個体こたいともオス)。



スライゴオオサンショウウオは、サンシャイン水族館の特別展とくべつてん「真夜中のいきもの展てん」の入口を抜ぬけるとすぐのところに展示てんじされています。


「数年前まで、スタッフは全員チュウゴクオオサンショウウオだと思って飼育しいくしていました。スライゴオオサンショウウオを展示てんじしているのは、サンシャイン水族館だけです! 今は希少きしょうな生き物ということで、大切に飼育しいくしています。水槽すいそうを見ていただくとわかりますが、特定とくてい外来生物なので、厳重げんじゅうな管理かんりが必要ひつようで、水槽すいそうの蓋ふたを厚あつくしたり、南京錠なんきんじょうをつけたりしなくてはならず、展示てんじに制約せいやくもあります」と飼育しいくスタッフの上市さん。



「1999年にここへ来たのですが、スライゴオオサンショウウオとしては初はじめての展示てんじとなるのでうれしいです。食べ物をそんなに食べるわけでもないので、飼育しいくがすごくたいへんということはないです」と話してくれました。


この日はえさをやる様子も見せてくださいました。えさはワカサギ。健康面けんこうめんのバランスなどにも気をつけて、ビタミン剤ざいや免疫めんえきをサポートするようなパウダーもつけているとのこと。


写真:サンシャイン水族館提供

「長いピンセットのようなものを使って、えさをあげます。あまり食べない時期もあれば、シーズンによって、エビが好すきだったり、ワカサギが好すきだったりというタイミングがあったりします。えさをあげるのは、週に3回くらいです」と言って、水槽すいそうの上からえさをあげます。


えさをあげるところ(写真:サンシャイン水族館提供)

なかなか食べないこともあるそうですが、この日は大きな口でパクッと食べてくれました。



「食べ物はかまないで丸まるのみにします。丸まるのみにするので、今はこれを食べたい気分じゃないよというときは、あとでそのまま吐はき出していることもあるんです」と上市さん。


スライゴオオサンショウウオは体も大きく、ふだんはじーっとしていますが、脱皮だっぴをすることもあるので、よく見ると、水中に皮が漂ただよっていることもあるそうです。



オオサンショウウオのひみつ


スライゴオオサンショウウオを見たあとは、サイエンスセミナーです。オオサンショウウオの生態せいたいについてや、スライゴオオサンショウウオ発見秘話ひわなどについて、「オオサンショウウオのひみつ」と題して、西川先生がわかりやすく説明せつめいしてくださいました。



(1)オオサンショウウオの生態せいたいについて


オオサンショウウオは、冷つめたい川を好このみます。

1匹ぴきのお母さんが700〜1000個この卵たまごを産うんで、赤ちゃんは生まれたときは3cmくらいです。巣穴すあなで3〜4か月、お父さんが子どもたちの世話をします。両生類りょうせいるいはあまり子どものめんどうは見ないのですが、オオサンショウウオはきちんとめんどうを見ます。

尻尾しっぽがヒレになっているので、子どもたちに新鮮しんせんな水を送ったりします。殺菌さっきんしたり、敵てきが来たら追い返したりといろいろなことをしているんだと思うのですが、こういうことも、実は最近さいきんまでわかっていなかったんです。

平均的へいきんてきな体長は70〜80cmくらいで、大きいと最大さいだい150cmくらいになります。成体せいたいのサイズが40〜50㎝で、14〜15年くらいかかります。個体群こたいぐんや地域差ちいきさもあって、水族館で飼かうと大きくなりがちです。

肉食で、体のわりには小さなものを食べていて、主に小魚や甲殻類こうかくるい、水生昆虫こんちゅうなどを食べています。川に流れてきた動物なら、結構けっこうなんでも食べると思います。

寿命じゅみょうは60〜70年くらいだと思いますが、まだまだわからないことが多いです。


(2)世界のオオサンショウウオの種類しゅるい


世界には5種類しゅるいいます。日本は1種類しゅるい、中国にいるチュウゴクオオサンショウウオが4種類しゅるいです。

説明せつめいする際さいに、誰だれにでもわかりやすく伝つたえるために、日本のオオサンショウウオ、チュウゴクオオサンショウウオ、交雑こうざつのオオサンショウウオのぬいぐるみを作りました。

日本と中国のオオサンショウウオが混まざった交雑こうざつオオサンショウウオが増ふえている中で、日本には、日本のオオサンショウウオしかいない地域ちいきもあるので、そこを保護ほごしていくことも大切だと考えています。


左から日本のオオサンショウウオ、交雑のオオサンショウウオ、チュウゴクオオサンショウウオ

(3)スライゴオオサンショウウオの発見


研究自体は、2011年から始めていました。

日本にいるチュウゴクオオサンショウウオに地域差ちいきさがあって、日本各地かくちにいるオオサンショウウオが、日本のオオサンショウウオなのか、チュウゴクオオサンショウウオなのか、交雑こうざつなのかについて、自分たちで川でとったものと、個人宅こじんたくや水族館で飼育しいくされていたり、死体で保管ほかんされていたりするものなどの遺伝型いでんがたを調査ちょうさしました。

すると、4個体こたいがスライゴオオサンショウウオと同じ遺伝子群いでんしぐんに含ふくまれることがわかったんです。

オオサンショウウオの中でも、最もっとも大きくなるスライゴオオサンショウウオは、世界最大さいだいの両生類りょうせいるいで、元の生息地の中国では絶滅ぜつめつした種しゅでもあるので、賛否両論さんぴりょうろんはあると思いますが、できれば個体群こたいぐんを復活ふっかつさせて絶滅ぜつめつしないように保護ほごしたいとも考えています。

チュウゴクオオサンショウウオとの違ちがいは、スライゴオオサンショウウオのほうが鼻はなの穴あなが大きくてちょっと離はなれているというところです。模様もようやイボも違ちがうという話もありますが、違ちがいはあまりわからないと思います。


サンシャイン水族館で飼育されているスライゴオオサンショウウオ(写真:サンシャイン水族館提供)

(4)環境かんきょうと進化について


オオサンショウウオは冷つめたい川が大好だいすきなので、温暖化おんだんかの影響えいきょうは直撃ちょくげきすると思います。

僕ぼくらのシミュレーションだと、数千年のうちにいなくなってしまうともいわれています。歴史れきしの中で、オオサンショウウオは、隣となりの川に数万年かけて移動いどうしたと思うんですけれども、今の温暖化おんだんかのスピードにはついていけないと思います。

オオサンショウウオは、2300万年くらい前から、少なくとも骨ほねの形については変かわっておらず、「生きた化石」とも呼よばれます。これはとてもおもしろいことです。

進化論しんかろんを提唱ていしょうしたチャールズ・ダーウィンは、「変かわらないことこそ進化の証明しょうめい」ともいっているんですね。

変化へんかがあると進化が起きるわけですけれども、逆ぎゃくに変化へんかがなければ進化する必要ひつようはない。オオサンショウウオとかシーラカンスは、生きる環境かんきょうが変かわらなかったから、進化する必要ひつようがなかったと思うんですよね。あまり動かないオオサンショウウオが、ずっと生き残のこることができたのは、そういう環境かんきょうが残のこっていたという絶対的ぜったいてきな証明しょうめいになって、それだけ日本の環境かんきょうが優すぐれていたという生き証人しょうにんみたいなものだと解釈かいしゃくしています。その環境かんきょうが残のこり続つづけていたのがすごい事実だと思います。


(5)オオサンショウウオの魅力みりょく


こんな細長い狭せまい日本の国土に、世界で最大級さいだいきゅうの両生類りょうせいるいがいるということは謎なぞですよね。しかも、西日本の一部に。どこから来たのかとか、どうして大きく成長するのかなどを研究する生物地理学というのも私わたしの専門せんもんなんですけれども、私わたしはそこが魅力的みりょくてきだと思っています。


(6)これからの目標もくひょう


中国の野生で確認かくにんできなかった種類しゅるいが日本でも見つかってきているので、どこかにチュウゴクオオサンショウウオの新種しんしゅや珍めずらしい系統けいとうの個体こたいがいるかもしれないので、これからも探さがしてきたいと思います。


西川完途先生

【参考】

スライゴオオサンショウウオ発見に関かんする京都大学から発表された論文ろんぶん

「スライゴオオサンショウウオが生きていた!―外来種がいらいしゅが救すくう種しゅの絶滅ぜつめつ?―」

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-02-08

京都大学爬虫はちゅう両棲類りょうせいるい学研究室(西川研)

https://nishikawalab.h.kyoto-u.ac.jp


【お知らせ】

9月9日は「オオサンショウウオの日」!

スライゴオオサンショウウオ解説付かいせつつき給餌きゅうじイベント開催かいさい

おとなしい性格せいかくなので、ふだんはじっとしていてあまり動きませんが、目の前にえさが現あらわれるとすばやく捕食ほしょくします。そのシーンは圧巻あっかんです!

日時:9月9日(火) 14時〜(約やく10分間)

場所:サンシャイン水族館 特別展とくべつてん「真夜中のいきもの展てん」スライゴオオサンショウウオ水槽すいそう前

料金りょうきん:特別展入場料とくべつてんにゅうじょうりょうのみでお楽しみいただけます。


サンシャイン水族館

所在地:東京都豊島区東池袋としまくひがしいけぶくろ3−1
  サンシャインシティワールドインポートマートビル・屋上
営業えいぎょう時間:10時〜19時
※最終さいしゅう入場は終了しゅうりょう30分前
※季節きせつ・曜日で変動へんどう
入場料:大人(高校生以上)2,600円〜、こども(小・中学生)1,300円、幼児ようじ(4歳以上)800円
※変更へんこうの場合あり
問い合わせ先:サンシャイン水族館 03-3989-3466
https://sunshinecity.jp/aquarium
※土日祝日しゅくじつおよび特定日とくていびは、入場制限せいげんを行っておりますので、事前予約よやく(日時指定・日付ひづけ指定)が必要ひつようです。
詳くわしくは水族館ウェブサイトをご確認かくにんください。


サンシャイン水族館 特別展とくべつてん「真夜中のいきもの展てん」

開催かいさい期間:開催かいさい中~ 11月24日(月・振替ふりかえ休日)
※ 営業えいぎょう時間は、時期によって異ことなります。
会場:サンシャイン水族館 特別展とくべつてん会場
料金:通常入場券つうじょうにゅうじょうけん600円  /「オリジナル蓄光ちっこうステッカー」付つき入場券にゅうじょうけん800円
※各種割引かくしゅわりびきあり。詳細しょうさいはウェブサイトをご確認かくにんください。
ウェブサイト:https://sunshinecity.jp/file/aquarium/mayonaka/

(取材・撮影:2025年8月18日「デジタル少年写真ニュース」編集部 吉岡)

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カテゴリー: いきものタグ: 9月9日, オオサンショウウオ, オオサンショウウオの日, サンシャイン水族館, スライゴオオサンショウウオ, 両生類, 京都, 京都大学, 動物, 在来種, 外来種, 夜行性, 子ども, 川, 川の生き物, 東京, 水族館, 池袋, 生き物, 真夜中, 真夜中のいきもの展, 絶滅危惧種, 西川完途, 親子イベント, 豊島区

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