
上野の森美術館(東京都・台東区)で、「五大浮世絵師展ー歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」が7月6日まで開催中です。五大浮世絵師展ということで、誰もが知っている、教科書に載っている五人の有名な浮世絵師の作品約140点を一気に見ることができる、豪華な展覧会になっています。

【第一章】喜多川歌麿─物想う女性たち
美人画で有名な歌麿の「五人美人愛敬競 兵庫屋花妻」は、遊女が手紙を読む場面を描いていますが、左には絵文字でタイトルが書かれています。これは寛政の改革で遊女を描くのが禁止されたため、名前を絵で表す工夫です。庶民の遊び心が描かれています。歌麿の美人画には理想の女性だけではなく、さまざまな身分や場面の女性が登場しています。



【第二章】東洲斎写楽─役者絵の衝撃
写楽は正体不明の謎の絵師として知られ、「大首絵」と呼ばれる、顔を大きく描いた作品で有名です。写実的過ぎて人気が長続きせず、短命だったともいわれます。絵にある文字は後に写楽のファンが書いたものもあります。写楽の絵は海外でも高く評価され、赤い印のある作品はフランスのコレクターのお墨付きとして展覧会にも出ています。



【第三章】葛飾北斎─怒涛のブルー
北斎の「神奈川沖浪裏」はとても有名な絵で、「冨嶽三十六景」という富士山がテーマのシリーズの1枚です。同じシリーズの「五百らかん寺さざえどう」という絵では、ぐるぐる登るお堂の上から景色を見ている人たちがいて、床の線や人の向き、小僧のゆびさしなどから、見る人の目がだんだん奥へ向き、最後に遠くの富士山に気づくように、構図が工夫されています。



【第四章】歌川広重-雨・月・雪の江戸
広重は「東海道五拾三次之内」や「名所江戸百景」で有名な絵師で、風景だけではなく旅人や町の人々の暮らしも描き、自然と人の営みを一体化させて表現しました。ドローンもない時代に、想像力を働かせて自由な視点から見た絵を描き出し、空間表現の工夫が光る作品を数多く残しています。



【第五章】歌川国芳─ヒーローとスペクタクル
武者絵で有名な国芳は、「通俗水滸伝」などで筋肉や入れ墨を描き、彫り物ブームを生みました。「左り甚五郎」は自画像ともいわれ、仏像にどてらを着せるなど、自身を彷彿とさせるユーモアもありました。天保の改革で役者絵が禁止されても、反骨精神で仏像風の役者絵を描くなど、自由な発想と風刺が光る絵師です。



【歌舞伎俳優・尾上松也さんが、絶賛開催中の「五大浮世絵師展」を初観覧!】
音声ガイドナビゲーターを務める尾上松也さんが「五大浮世絵師展」に来て、展示を初めて観覧しました。「五人の浮世絵師それぞれに個性があり、作風の違いがよくわかりました。絵からは当時の風景や空気感、絵師の情熱までもが伝わってきます。それを、ぜひ実際に感じてほしい」と語りました。


【五大浮世絵師展 ー歌麿 写楽 北斎 広重 国芳】
・会期:2025年7月6日(日)まで/会期中無休
・開催時間:10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
・会場:上野の森美術館(〒110-0007 東京都台東区上野公園1-2)
・入館料(税込):一般:2,000円、高校・専門・大学生:1,500円、小・中学生:当日800円
※未就学児無料
※小学生以下は保護者同伴でのご入場をお願いいたします。
※学生券でご入場の場合は、学生証のご提示をお願いいたします。(小学生は除く)
※障がい者手帳(身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害保健福祉手帳・被爆者健康手帳)をお持ちの方とその介助者(1名まで)は当日料金から半額となります。
・オフィシャルサイト:https://www.5ukiyoeshi.jp
・展覧会公式X:@5ukiyoeshi
・展覧会公式Instagram:5ukiyoeshi
(取材、一部写真撮影:2025年5月26日 デジタル少年写真ニュース編集部澤村)