清涼飲料やビールなどをつくっている会社が所属する、6つの団体でつくられている「公益社団法人食品容器環境美化協会(略称:食環協)」は、2025年1月31日に「第25回 環境美化教育優良校等表彰事業」の最優秀校表彰式を行いました。

食品容器環境美化協会は、1973年から活動しており、ジュースやお酒のびんやかんが道にちらばらないようにしたり、リサイクルをすすめたりする活動をしています。また、日本の自然や町などをきれいにするための「環境教育支援」などを行っています。
この表彰は、2000年から毎年行っていて、今年で25回目になります。日本中のたくさんの小学校や中学校が、学校の中だけではなく、地域の人たちといっしょにまちをきれいにするすばらしい活動をしており、今年は4校が「最優秀校」、6校が「優秀校」、21校が「優良校」にえらばれました。
表彰式には、最優秀校にえらばれた4校の生徒や先生、校長先生などが、会場である浅草ビューホテル(東京都台東区)に集まり、表彰状を授与されました。
【文部科学大臣賞】
鹿児島県肝付町立岸良学園

学校の近くにある「岸良海岸」には、毎年ウミガメが卵をうみにやってきます。学校では「ウミガメ科」という特別な授業があり、25年以上も前からウミガメを守る活動をしています。ウミガメが卵をうんだら、子どもたちはその卵を「ウミガメハウス」という場所にうつして大切に育てます。卵がかえるまで、気温や砂の温度を毎日調べて記録します。赤ちゃんガメがうまれたら、みんなで海にかえしてあげる「放流会」を開きます。子どもたちは、海岸をそうじしたり、木をうえたりして、海や自然を大事にする気もちと郷土愛を育んでいます

岸良学園 鈴木美愛レイラさん
「岸良学園では平成11年からウミガメ保護活動に取り組んでおり、ウミガメが上陸しやすい環境になるように、学校、保護者、地域と連携をして、ウミガメ岸良浜清掃などに取り組んでいます。また廃材を使った石けんづくりや、へちまを使ったタワシづくりなど、自分たちにできることも行ってきました。わたしたちの意識が向上することで、環境もよりよくなることにつながっていくと思います。今回、文部科学大臣賞というすばらしい賞をいただいたことで、学校の児童生徒はもちろん、地域の方々がとてもよろこんでくださいました。これまでみんなでやってきたことがみとめられて、とてもうれしい気もちでいっぱいです。今回の受賞をはげみに、これからもみんなでさまざまな活動をしていきたいと思っています。

【農林水産大臣賞】
福井県福井市美山中学校

地域や家庭の力を蓄えた生徒が小学生を巻き込んで環境保全に尽力
美山の町の90%は山林地帯で、足羽川という川が流れています。自然がゆたかなこの町で、学校では「フラワーロード奉仕活動」といって、国道のまわりに花をうえたり、雑草をぬいたりする活動をさかんに行っていて、町の人たちといっしょにやるので、みんなの交流の場所にもなっています。2004年には、福井豪雨による大雨で町が大きな被害を受けました。その当時の生徒たちは、今までの活動で学んだことを生かし、町の復興を手伝いました。次の年からは、「親子奉仕作業」という活動が始まりました。保護者といっしょに学校のそうじをしたり、川の土手の草をかったりしています。地域で回収したごみから、そうじきやタイヤなどの大きなごみが出てきたことにおどろいた生徒たちは、自分たちでも「美山クリーン大作戦」を企画して、どんなごみがあるのかをまとめたポスターを作って地域に配布しました。その次の年には、ほかの小学校にも声をかけて、みんなでいっしょにそうじをしました。生徒たちは、ふるさとの自然を守るために、いろんなアイデアを出し合ってがんばっています。

美山中学校 野尻瑛斗さん、杉本黛亮さん
野尻さん「ぼくたちは美山をきれいにしようという思いで、いろいろな活動をしてきました。その活動をまさかこのように評価していただくとは思ってもいなかったので、とてもおどろきましたし、とてもうれしかったです。これからも、僕たちの地元の美山をきれいに維持していけるようにがんばっていきます。
杉本さん「ぼくは今日、美山中学校が農林水産大臣賞を受賞して、今までの先輩の努力と感情を背負いながらこの場に来ました。そして、今この舞台ですばらしい賞を受け取れたことにすごくうれしく思っています。これからも、がんばっていこうと思います」

【環境大臣賞】
福島県只見町立只見中学校

只見町は日本有数の豪雪地帯で、その環境ならではの生態系が育まれています。学校では、その環境を守るためにいろいろな活動をしています。中でも注目を集めているのは、「新聞紙(しんぶんし)のレジぶくろ」です。新聞紙をリサイクルして生徒たちがつくったレジぶくろを、町のお店で使ってもらっています。生徒たちはふくろを使ってもらえるようにお店に直接お願いしてまわり、ふくろの数の管理もしています。この活動は、海で体験学習をした生徒たちが、浜辺にたくさんのごみが落ちているのを見つけ、その中でもとくに目立っていたプラスチックのレジぶくろをへらそうと思ったことから始まりました。この活動に感心した町の人たちも新聞紙でレジぶくろを作る教室を開いたり、それを知った農家の人たちはプラスチックでコーティングされた肥料を使わない米づくりを始めたりしました。海で見たごみの現状から生まれた生徒たちの小さな活動が、町の大人たちの考えや行動を変えることにつながりました。
只見中学校 目黒ゆまりさん
「本日はすばらしい賞をいただき、ありがとうございます。わたしたちの活動が街によい影響をあたえ、取り組みに変化があると知って、とてもうれしく思います。これからはさらに活動の幅を広げ、がんばりたいと思います」

【特別賞 協会会長賞】
和歌山県田辺市立本宮中学校

熊野本宮は、2011年に「紀伊半島大水害」という災害で、大きな被害を受けました。そのとき、町を元気にしたいと考えた生徒たちが、花を植えたプランターを町の通りに設置したり、住民の家に配ったりしたことから、しだいに町は明るさをとりもどしました。
それから10年以上たった今では、国内外から町にやってくる観光客への「おもてなし」を目的とした活動になりました。道に落ちているごみを拾ったり、花で町をきれいにしたりしています。
生徒たちは、近くにある「熊野本宮大社」や「熊野古道」といった世界遺産についての勉強もしています。「熊野古道」では道を修復する「道普請」に取り組んだり、町のよさを伝える「語り部」にもチャレンジしています。
むかし花で町を元気にした生徒たちの思いを大切にしながら、今の生徒たちも、町の人たちといっしょに、ふるさとを守り、よりよくしていこうとがんばっています。
本宮中学校 福澤理生さん
「本日はこのようなすばらしい賞をいただき、とてもうれしく思います。この賞はわたしたちだけでなく、今までの先輩方や地域の方の協力があってのものだと思います。この賞をはげみに、これからもさまざまな活動に貢献していきたいと思います。

〈食環協の環境学習支援〉
食環境では、まち美化を長期的な視点で進めていくために、これからの社会をになう子どもたちへの環境学習支援を積極的に行っています。
〈子ども向けサイト〉
まち美化キッズ https://www.kankyobika.or.jp/kids/
(制作協力/写真提供:「第 25 回 環境美化教育優良校等表彰事業」PR 事務局 )