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毎年秋に開催される「東京大茶会」。今年の「東京大茶会2025」は、10月4日(土)〜5日(日)に浜離宮恩賜庭園(東京都中央区)、10月18日(土)〜19日(日)に江戸東京たてもの園(東京都小金井市)にて開催され、多くの人が訪れ、日本のお茶の文化「茶道」を楽しみました。

浜離宮恩賜庭園会場では、東京都高等学校文化連盟茶道部門に所属する高校の茶道部の生徒たちが屋外でお茶を振る舞う「高校生野点」が、毎年行われています。

流派を越えて活動をしているため、立札卓や水差しや茶わんなどを、この「高校生野点」のために特別にあつらえています。提供されるお抹茶も東京で栽培されたものを使用し、お菓子もこの日のために、高校生に合わせて、かわいらしいデザインのものが用意されています。生徒たちが身につけている帛紗も、江戸小紋の染め物工房で職人の方に教えてもらいながら、生徒たちが自ら染めたものとのことでした。







「生徒たちのお茶が、いらしてくださった皆さまの心をつなぐことができればと思っています。茶道における一期一会の精神といいますか、お茶席での皆さまとの出会い一つひとつを大切に、生徒それぞれが、この場での経験をかけがえのないものにしてもらえたらとつねに願っています。生徒たちはこれからの文化の担い手ですから、ふだんのお稽古では厳しいことも申しますが、やはりこうした特別な舞台に立って、いらしてくださった皆さまのことを考えて、この空間をすばらしいものにしようとがんばる生徒たちの姿を見るのは、本当にうれしいです。また、このような貴重な機会を毎年提供してくださる東京都をはじめとした皆さまにも、心から感謝をしています」と笑顔で話すのは、東京都高等学校文化連盟理事で、東京都立富士高等学校茶道部顧問の残間紀美子先生。

トップバッターでお点前を披露した東京都立富士高等学校茶道部の生徒の皆さんにも、お話を伺いました。
「東京大茶会は、私たちにとっては晴れ舞台です。文化祭などで自分の学校の人にお茶をお出しすることが多いのですが、一般の方にお茶をお出しする機会はなかなかないので、たくさん準備をしてきました」と話すのは、高校1年生の渡辺菜月さん。
お席の紹介を務めた高校1年生の勝田結衣さんは、「文化祭だと知っている人をおもてなしすることが多いのですが、東京大茶会に出させていただくにあたり、一般の方にお茶をお出しする際に失礼がないように練習をしました」と続けました。
お点前を披露した高校2年生の山田千尋さんは、「お客さまにおいしいお茶を召し上がっていただくことがいちばんの目的なので、こうした場できっちりお客さまに喜んでもらえるようなおもてなしをするということは、東京大茶会に向けた練習だけではなく、ふだんのお稽古からの積み重ねだと思っています。後輩には、ふだんのお稽古から意識を高くもってほしいと言っています」と話してくれました。
茶道を始めたきっかけについて聞いてみると、「小学生のときに、茶道の体験教室で茶道のおもしろさを知り、中学生になってから始めました」(渡辺さん)、「日本文化に興味があって、日本文化をどこで学ぶかを前から考えていたときに、茶道部が学べる場だと思って入部しました」(勝田さん)、「小学校の特別授業で、茶道がありました。中学校に入ったら茶道部があったので、興味があって入りました」(山田さん)とさまざま。
「皆さまとの一期一会の出会いを通して感謝の気持ちも生まれてくるので、これからも、そうした気持ちを大切に、ふだんのお稽古からがんばっていきたいと思います。こうしたお茶会は、私たちの力だけではなくて、いろいろな方の力が合わって成り立っていることだと思いますので、皆さまへの感謝を忘れずに精進していきたいです」と、3人はその思いを教えてくれました。
浜離宮恩賜庭園会場での「東京大茶会2025」では、茶道プログラムは「高校生野点」のほかにも、室内で行われる「茶席」や、海外の方向けに英語の通訳と解説がついた「英語で楽しむ野点」、東京都華道茶道連盟による、それぞれの特徴をいかした屋外での「野点」が行われ、手話通訳がつくなどの工夫もされました。
また茶道だけではなく、伝統文化体験プログラムとして、英語の通訳と解説がついた「華道体験」も行われ、海外の方も楽しそうに体験していました。








来場した多くの人びとにとって、「東京大茶会2025」は、茶道などの日本の伝統文化を体験することで、心を通わせ、その魅力を身近に感じることができる貴重な機会になったのではないでしょうか。このような機会があれば、みなさんもぜひ参加してみてください。
「東京大茶会2025」ホームページ https://tokyo-grand-tea-ceremony2025.jp
(取材・撮影:2025年10月4日「デジタル少年写真ニュース」編集部 吉岡)

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