国立科学博物館にある全球型映像施設「THEATER 36○(シアター・サン・ロク・マル)」は、2005年「愛・地球博」の長久手日本館で人気だった「地球の部屋」を国立科学博物館に移設したものです。
直径12.8m(実際の地球の100万分の1の大きさ)のドームの内側すべてがスクリーンになっていて、中央にあるブリッジに立って、360°全方位の映像を楽しむことができます。
これまでは恐竜や深海、宇宙などをテーマにしたオリジナル映像が上映されてきましたが、今回およそ4年ぶりに新しい作品が完成しました。
通算8本目となる新作のタイトルは「日本の川 ―固有種との出会いの旅―」です。

日本の川が舞台となり、そこで生きるたくさんの生き物のなかで、特に両生類と植物について、北海道から沖縄まで現地で撮影を行い、およそ2年をかけて完成しました。
日本各地の特徴的な川を旅しながら、そこにしか生息していない両生類と植物に会いに行くことができます。
映像を見たあと、日本の自然についてもっと知りたくなったら、国立科学博物館の日本館2階や3階に行ってみましょう!
5月6日に一度上映は終了しましたが、次は8月に上映されます。夏休みにぜひ見に行ってください。
【映像のチェックポイント】
- 川の周辺の地形や岩石に注目してみよう! 流れが急なときやゆるやかなときのちがいを見つけることができます。
- 大雨がふると川の流れははげしくなります。川にのみこまれたヤシャゼンマイのような植物がどうなるのかに注目してみましょう。
- 日本各地のカエルやサンショウウオが、どのように川を利用しているのかがわかります。

【監修した国立科学博物館の先生たちによる見どころ解説】

動物研究部脊椎動物研究グループ研究員
吉川夏彦さん
見どころは、わたしの専門でもあるサンショウウオです。世界最大級の両生類として、一生を川ですごす日本固有種のオオサンショウウオがいます。ほかにも、東京の秋川にいるナガレタゴガエルや沖縄のハナサキガエルがたまごをうむところとか、カエルも見どころがたくさんあります。
植物研究部陸上植物研究グループ研究主幹
海老原淳さん
日本固有種の多い場所としては島や高い山が有名ですが、意外と知られていないのが川です。川は水の流れによって過酷な環境ができあがっていて、それに適応して生きる植物のなかにも、日本固有種がたくさんいます。わたしの専門はシダ植物で、川の流れのそばにしかはえないふしぎなシダ植物、ヤシャゼンマイにスポットを当てています。
生命史研究部環境変動史研究グループ研究主幹
齋藤めぐみさん
舞台になる川を見てみなさんが楽しんでくれるように、撮影をしてきました。これまでの作品のなかでも、とても内容がこい作品になったのではないかと思います。1回では見落としてしまう点もあるかもしれないので、できれば2度、3度と足を運んで見ていただけたらと思っています。
国立科学博物館日本館地下1階
「THEATER 36○(シアター・サン・ロク・マル)」
上映時間 9時半(初回上映)〜16時半(最終回上映)
入館料 一般・大学生 630円(団体510円) 常設展示入場料のみでご覧いただけます
※団体は20名以上、高校生以下および65歳以上は無料
※くわしくは国立科学博物館ホームページをご覧ください
上映予定
<5月> 人類の旅 ―ホモ・サピエンス(新人)の拡散と創造の歩み―
<6月> 3万年前の大航海 ―ホモ・サピエンス日本上陸―
<7月> 海の食物連鎖 ―太陽からクロマグロをつなぐエネルギーの流れ―
<8月> 日本の川 ―固有種との出会いの旅―
<9月> 深海 ―潜水艇が照らす漆黒のフロンティア―
「日本の川 ―固有種との出会いの旅―」は日本芸術文化振興会と文化庁が主催する令和6年度日本博2.0事業の委託を受けて制作されました。
取材協力:国立科学博物館展示部
(取材・撮影:2025年3月21日「デジタル少年写真ニュース」編集部吉岡)